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RailSim2 羽村山口軽便鉄道 プラグインセット

或る日の残堀砕石場(再現)

このページは羽村山口軽便鉄道のプラグインセットを公開するページです!
またそれに関連して"羽村山口軽便鉄道とは何か"ということも紹介していきます
プラグインセットの内容については「プラグインセットについて」の章をご覧ください

羽村山口軽便鉄道の史実

(この章はスクロールできるようにしました)

前史・東京市の水道事情

 明治後期、人口増加の激しい東京市(現在の東京23区)では、上水道の供給量確保が急務でした。
東京市は1890年代から本格的に対策に乗り出し、鉄製水道管への転換や浄水場の建設などを行いました。
1924年(大正13年)には村山貯水池(多摩湖)が完成しましたが、それでもまだ十分な給水量を確保できていませんでした。

山口貯水池建設工事と軽便鉄道

 その中で始められたのが山口貯水池(狭山湖)の建設です。
1927年(昭和2年)11月から始まったこの工事では、堰堤(えんてい)の築造に必要な砂利を多摩川の羽村取水堰付近から採取することになりました。
このとき砂利を運搬するために敷設された軽便鉄道が"羽村山口軽便鉄道"(以下、羽村山口線)です。

羽村山口軽便鉄道について

 羽村山口線は羽村取水堰から村山貯水池へ続く導水渠、羽村村山線の上をなぞるように敷設されました。
軌間610mmで敷設されたこの鉄道には、横田トンネルから続く6ヶ所のトンネルの他、5ヶ所の交換所や砕石場などが設置され、また勾配の急な箇所ではインクラインまで設けられました。
多摩川で採取された砂利は途中の"残堀砕石場"で砕石され、横田のトンネル群をくぐり、山口貯水池へ運搬されたわけです。
この線路はそのまま堰堤予定地まで敷設されており、堰堤付近では砂利のほかに、堰堤予定地の南北両岸の丘から切り崩された盛土用の土を運搬する役目も担いました。
羽村山口線は1929年(昭和4年)中頃から1932年(昭和7年)7月頃まで運用されました。

羽村山口軽便鉄道の車両

 羽村山口線には28両もの機関車が投入され、また貨車として450両のナベトロが在籍していました。
機関車のうち5両は前回の村山貯水池の工事から転用されたもので、また6両は当時としては珍しいディーゼル機関車でした。

羽村山口軽便鉄道のその後

 山口貯水池は1933年(昭和8年)3月末には主要工事を終え、翌年ついに竣工しました。
役目を終えたナベトロや機関車などは、その後建設が始まった小河内貯水池(奥多摩湖)の工事に転属されました。

 また、太平洋戦争中の1943年(昭和18年)4月には、空襲対策として村山貯水池下堰堤と山口貯水池堰堤の嵩上げ工事が始まりました。
このとき羽村山口線が一時的に復活したという情報もあります。この工事は1944年(昭和19年)11月まで続きました。

羽村山口軽便鉄道の廃線跡

 羽村山口線は導水渠の上に建設されました。そのため現在でも、廃線跡の大部分が神明緑道や野山北公園自転車道などとして整備されています。
横田のトンネル群は今でも存在し、うち4ヶ所は野山北公園自転車道の一部として通行することができます。

山口貯水池
山口貯水池
2013年撮影
横田トンネル
今も残るトンネル群
画像は横田トンネル(当時の1号隧道)
2013年撮影
羽村山口線説明看板
羽村山口線を説明する看板
当時、残堀砕石場があった辺りに
立てられている 2013年撮影

(画像はクリックで拡大します)

羽村山口軽便鉄道 プラグインセットについて

プラグインセットの概要

 2012年、数人の友人と共同で羽村山口線の調査・研究を行いました。
当プラグインセットはその一環として実施された「RailSim羽村山口軽便鉄道再現計画」によって作られたものになります。

 プラグインセットには7種類の機関車をはじめとして、"残堀砕石場"や重機、車庫など羽村山口線の再現に必要なプラグイン一式が含まれています。軌間610mmのレール・枕木プラグインも含まれていますので、今すぐ素敵な軽便鉄道ライフを楽しむことができます。

 また、各プラグインは汎用的に使えるように制作しましたので、羽村山口線の再現に限らず他の軽便鉄道レイアウトでもご活用できます!

 機関車とナベトロにはサウンドを実装してあります。ぜひスイッチをオンにしてお楽しみください。

バージョン情報

 プラグインセットの最新バージョンはVersion.1.0です。
過去の更新については「プラグインセットの更新履歴」をご覧ください。


こぼれ話

 実のところ「RailSim羽村山口軽便鉄道再現計画」は2013年には完遂していたのですが、このとき制作したプラグインにはいくつかの満足行かない点があり、公開を先送りしていました。
 その修正作業もしばらく未着手といった状態でしたが、2017年10月から2018年3月にかけてようやく修正作業を行いましたので、満を持しての公開となります。


プラグインセット内容一覧

 当プラグインセットの具体的な内容物は以下の表や右側の画像をご覧ください。なお以下の表の自重・数の値は実際の羽村山口線での値です。

・機関車(Train)
名称 自重 説明
ドイッツ(5t) 5t 4両 Deutz社製のディーゼル機関車
ドイッツ(7t) 7t 2両 Deutz社製のディーゼル機関車
プリマウス(BL) 6t 1両 Fate-Root-Heath社製のガソリン機関車
村山貯水池工事から転属された車両のひとつ
プリマウス(FL-1) 4.5t 4両 Fate-Root-Heath社製のガソリン機関車
ホイットコム 4.5t 6両 Whitcomb社製のガソリン機関車
加藤製作所 4.5t 1両 加藤製作所製のガソリン機関車
成田ゆめ牧場まきば線に保存されているような
ディーゼル仕様にも切り替えられます
大日本軌道 5t 2両 大日本軌道製の蒸気機関車
村山貯水池工事から転属された車両のひとつ
・貨車(Train)
名称 説明
ナベトロ 450両 羽村山口線で使われたナベトロ
木製トロッコ N/A 村山貯水池の工事で使われた木製トロッコ
・施設(Struct)
名称 説明
Bucyrus D2(ドラグライン) 山口貯水池工事で使われた重機
Bucyrus E2(ショベル) 山口貯水池工事で使われた重機
残堀砕石場 - 本体 残堀砕石場の建物
残堀砕石場 - シューター 残堀砕石場の設備
燃料庫 かつて横田トンネルの付近にあった車庫と燃料庫
現在でいう横田児童遊園の位置に存在しました
横田車庫
横田トンネルポータル 横田トンネルがモデルの汎用で使えるトンネル
・軌道関係
名称 PI種類 説明
610mm Rail 軌間610mmのレール
枕木 Tie 610mm用の枕木
盛土セット 単線 - 草 Girder 汎用で使える盛土
盛土セット 単線 - 土 Girder 汎用で使える盛土
盛土セット 複線 - 草 Girder 汎用で使える盛土
盛土セット 複線 - 土 Girder 汎用で使える盛土
盛土セット - 終端 Struct 盛土セットの終端部分
汎用木製橋脚 - 単線 Pier 汎用で使えるティンバートレッスル
汎用木製橋脚 - 単線片側 Pier 汎用で使えるティンバートレッスル
汎用木製橋脚 - 終端 Struct 汎用木製橋脚の終端部分
汎用木製橋脚用枕木 - 単線 Tie 汎用木製橋脚とセットで使う枕木
汎用木製橋脚用枕木 - 単線片側 Tie 汎用木製橋脚とセットで使う枕木
汎用木製橋脚用枕木 - 終端 Struct 汎用木製橋脚用枕木の終端部分

プラグインセットの更新履歴

2018年3月9日…Version.1.0

  • ついに公開
車輌プラグイン
7種の機関車と2種の貨車
Bucyrus D2 Bucyrus E2
羽村山口線で使われた重機2種
施設プラグイン一覧
同梱されている施設プラグイン一覧
残堀砕石場1 残堀砕石場2 残堀砕石場3
残堀砕石場の設置例

(画像はクリックで拡大します)

参考文献

 当プラグインセットは古今東西様々な資料を参考に制作しました。全てを紹介することは難しいので、書籍に属するものに限って紹介します。

  • 武蔵村山市立歴史民俗資料館 (1995)「文化財資料集14 村山・山口貯水池建設工事写真集:清水輝雄寄贈アルバムから」
  • 武蔵村山市立歴史民俗資料館 (1994)「特別展 村山を通った軽便鉄道」
  • 武蔵村山市教育委員会 (武蔵村山市立歴史民俗資料館) (2010)「平成22年度 特別展解説書 武蔵村山の軽便鉄道」
  • 名取紀之・岡本憲之 (1993)「トトロの森の大軽便鉄道 -東京最大!羽村山口軽便鉄道の発掘-」ネコ・パブリッシング『トワイライトゾーンMANUAL II』

※現物が手元にない資料については発行年が不確かですので、初版の発行年を記しておきました。